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​王都カミハルムイ編

GRAND FINALE

GRAND FINALE SHORT STORY

久し振りにカミハルムイを訪れたのは、特に目的があったわけではない。

つい最近大きなクエストを完了させ、日常的なクエストをこなす穏やかな日々の中、ふと、カミハルムイの桜を思い出しただけだった。

赤い敷物(モウセン、というらしい)の敷かれた長椅子に腰掛け、二つ目の桜餅に手を伸ばす。

ほんのりまだ温かく、甘塩っぱい。穏やかな晴天。涼やかな風に桜が舞っている。

と、青空に浮かぶ、オレンジ色の何かが目に入った。

(あれは…風船?)

ゆっくりと、空へと小さくなっていくのは確かに風船に見えた。

そして、追いかけるようにまたひとつ、今度はピンク色の風船が昇っていく。

(誰かが飛ばしているのかもしれない)

勘定を済ませ、風船の飛んでいた方向へと歩き出す。少しだけまぶしく、輝くような青空。

そういえば、こうして空を見ながら歩くのはいつぶりだろう。

見知らぬ地を行くことが多くなって、一歩一歩、足下を確かめながら歩くことが癖になっている。

顔を上げるだけで、世界が広くなったようにさえ感じる。

風船の飛ばし主は、案外すぐに見つかった。堀のそばに、三つ四つの風船を持つ、エルフの姉妹がいた。

「こんにちは。何してるの?」

姉妹はこちらを向き、わたしの笑顔を見て、怒られているのではないと理解してくれたのか、ふたりとも笑顔になった。

姉は十歳前後、妹は六歳前後だろうか。笑った顔はそっくりだった。

姉が「お祭りの練習をしています」という。

「お祭り?」

「今晩、お祭りがあるんです」「とうろうまつり!」

「……灯籠?」

「昔は灯籠だったそうですが、最近は子供も扱えるよう、風船になったそうです。大人の人は、今でも灯籠を飛ばす人もいます」

言い終えるか終えないかのあたりで、緑色の風船が自然と天へと上がっていった。

「ハッピーバースデーアストルティア!」

元気な声で、妹が叫んだ。

「今のは?」

「灯籠が飛び立つとき、願い事を言う習わしなんです。灯籠が思いを天に伝えてくれるそうです。今夜は、この世界の誕生を祝うお祭りだから、今みたいに、お祝いの気持ちも込めることもあります」

願いと、お祝い。その言葉の響きに、何か懐かしいものを感じる。

目の前が明るくなったような、知っているのに思い出せないような、確かにここにあるのに名前を忘れてしまったかのような。

またひとつ、今度はオレンジ色。

「おまつりが、だいせいこうしますように!」

妹の声を聞いていたら、懐かしさの正体に気付いた。

何のことはない、先ほど、顔を上げて歩いたときのことを思い出しただけだった。

視界の半分が空で、世界が広く、明るくなったようなあの感覚。

『願い』と聞いて思い出したのは、それが青空のように明るさと広さを感じさせるものだったからだ。

日常を繰り返す最近のわたしに足りなかったもの。

「良かったら、お姉さんもひとついかがですか」

「ありがとう。でも自分で探してくるよ」

その方が、叶いそうだから。

何を願おう。冒険者としてはやはり富か名誉か、強敵に負けない身体、冷静さか。

姉妹に手を振って、駅の方に歩き出した。たまには電車もいいかもしれない、と思ったから。

願い事を考えるだけでも胸の奥底が熱くなる。何を願おう。何を願おうか。走り出したくなる。

「あしたも、いいてんきになりますように!」

遠くになった声を聞いて、わたしは結局走り始めてしまった。まるで、『願い事』に引っ張られるみたいだった。

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「これからの旅路を、願おう!」
王都カミハルムイ北 駅前広場 D2E2付近
開催時間  24:00 - 24:30

願いを込めて風船をみんなで飛ばしましょう。

 

風船をアイテムとして飛ばすと、約90秒後に手から離れて、天高く舞い上がっていきます。風船が登っていくのを見ながら、お願い事をまわりにチャットで言ってみましょう!(しぐさ「風船ふわふわ」でも代用可能です!)

みんなの願いが叶うように、願い事をしているひとを見つけたら、「いいね!」してみましょう!

 

みんなで一斉に飛ばすと、なお素敵です。

当日はティアフェススタッフたちが、みんなで一斉にふうせんを使うよう合図をしますので、気づいたら是非ご一緒にやってみましょう!

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